著者: 南房秀久
イラストレータ: シンゴ
レーベル: 富士見ファンタジア文庫
トロンヘイム王国元王太子アラン大公の命を狙った少年暗殺者サキは、しかしアランに敗れ、彼が率いる王都守備隊第九中隊「九尾の猫」に半ば無理矢理入隊させられる。王国は長年の戦争に疲れ、先王の弟で纂奪王ハディング打倒を標榜する叛乱志士たちが跋扈するようになっていた。民の信望を失った国の治安を悪名と共に守る王都守備隊。隊長が元王太子ということもあり、その立場微妙なもの。
守備隊内部に内通者が疑われるなか、サキは“闇隊士”の新人少女イーファと知り合う。それが暗殺者として、そしてその後も続く戦いの日々に心を失った少年に新たな光りをもたらす。
南房秀久ということで安心して読める一作。これまでの作品よりややアダルティな雰囲気は出しているけど、本質的には少年向けの熱い話。大人な読者にはやや物足りない向きもあるかもしれないが、ライトノベルとしてはこんなものだろうか。
良くも悪くも「安牌」という言葉が似合う。