著者: 笹本祐一
河奈見町にある高山高校《民俗伝承研究会》は会員三名の弱小同好会。いつ訪れるとも知れないお取り潰しの危機を前に、会長佐貫文は河奈見に伝わる天人化け猫伝説の天女・おりんが乗ってきた天の岩舟の調査をぶち上げる。最初は誰も乗らなかった話だが、嵐の翌朝、文の家の裏山の不思議スポット・逆さ登りの坂に黒い物体が露出したことにより急展開を遂げる。
少なくとも数百年前に、高温で斜面に激突したと思われる黒い物体の正体は宇宙船?!
文、昇助、晶の三人になぜかOBのセンパイ、文の姉ひとみまで加わって、穴を掘ったり電気を盗んだりの大騒ぎの夏休みが始まった!
類型的には田舎SFというジャンルになるのでしょうか、都会ではない鄙びた町を舞台に身の丈サイズで展開されるSFジュブナイルです。作者の他の作品が比較的スケールの大きな話が多いことを考えると、珍しいタイプといえます。
高校生たちがハイテンションコードをどこからか調達してきて高圧線から電気を盗むなど、ちょっとご都合主義が過ぎる嫌いがあるのが残念なところです。
イラストレータ: そうま竜也
レーベル: ソノラマ文庫