著者: 長谷川昌史
イラストレータ: Nino
レーベル: 電撃文庫
6年前“あの事件”で兄を失った少年・ネリムは、ある日学校で新任の保健教諭ディネと出会う。「本当のことが知りたい?」と兄と同じことをいう不思議なディネに、ネリムは惹かれ、そして街の秘密へと近付いていく。
丸一日日が射さない“日黒期”という不思議な現象。収穫祭の時だけ現れる外国の商人。父・スマスナが率いるナレンドラ党とミムルク党の議会での対立と隠された秘密。
全ての謎の交点に、行方不明の兄の影が重なる。
作者が自己紹介で純文学作品をよく読むと書いているだけあって、ファンタジーではあるものの、主人公の内面描写には力が入っています。街を取り巻く謎と、張り巡らされる陰謀。そして暗躍する影。なかなか良い感じの作品です。
ただ、少々登場人物が多くて手が回りきらなかったかったかな、という気はします。
世界設計に漂う青臭さは、作者の味と思うしかないでしょう。初巻の後書きは明らかに蛇足ですが。