著者: 佐藤ケイ
イラストレータ: 高梨ひつじ
レーベル: 電撃文庫
井崎智弘の妹・由香は、重い病気を患って長期入院していたが、8月1日に一時帰宅する。両親が親戚の法事のために不在のため、智弘は半ば嫌々ながら由香の面倒を見ることに。
縁が薄く、口数の少ない妹とのコミュニケーションに最初は苦労するものの、徐々に打ち解け合う兄妹。近所で幼馴染の夏尾香奈子を交えた三人の夏が、静かに流れていく。
由香の、最後の夏が……。
佐藤ケイというと「天国に涙はいらない」が代表作ではあるが、この作品はその対極に位置しながら同根である、もう一つの代表作。「病弱な妹とのひと夏の交流」という、使い古された、ある意味王道とも言えるお涙頂戴ストーリーであるが、お約束をお約束通りに描き切れているところに、著者の非凡さが窺える。