著者: 神代明
イラストレータ: 緋賀ゆかり
レーベル: 集英社スーパーダッシュ文庫
ミュータントと呼ばれる怪物が人々を襲う世界。そのミュータントを狩るために組織された教会のシスターを目指すキュノ、アリシア、ジンジャーの三人の候補生の成長を描く、ほのぼの系ファンタジー。
射撃は得意だが他は全滅級のキュノ、癒しの力はトップだけど他は壊滅級のアリシア、殆どの教科でトップを維持するジンジャー。この3人の班は、なぜかいつもトラブルに巻込まれて、それでいながらいつも最後にはなんとかしてしまう、不思議なトリオ。女の子同士の友情を育みながら、また親姉妹友人恩人などとの暖かな交流を通して、精神的成長を遂げていく三人娘。
一方で、教会で育ったキュノを中心として、入り組んだ「世界の謎」がちらちらと影を落とす。なぜミュータントは存在するのか。眠り病はなぜ存在し、そして教会は何故それを防ぐことができるのか。ミュータントは何故発生するのか……。
辛いことがあって、時には涙も流すけど、今日もキュノ達は元気です!
実にほのぼのとした、いい感じのファンタジーです。でも背景にある世界の謎は結構奥深く、しかも第1巻から丁寧に伏線が張り巡らされてあり、読み応えも充分。時折覗く世界の秘密からは、ロスト・コロニーものではないかと推測されます。
登場する女の子たちの心理描写も秀逸で、学園ものとして読んでも大丈夫です。ただ、学園ものとしてはやや恋愛成分が少なめなのが難点でしょうが、それについては娘さんたちの成長を待つしかないでしょうか。
今後も期待できるシリーズです。