著者: 奈須きのこ
イラストレータ: こやまひろかず
レーベル: 講談社BOX
アゴニスト異常症。通称“悪魔憑き”。感染者の精神のみならず肉体にも異常をもたらす、謎の病。この病を受けながらも隔離施設から戻ってきた石杖所在(イシヅエアリカ)は、出所後の仕事として、両手両足のない美貌の少年・迦遼カイエの世話をしていた。そんなことをしている間に、何故かアリカは悪魔祓い師と看做されるようになり、望まずながら怪異に首を突っ込むことに。
奈須きのこ謹製現代伝奇。意図的に錯誤を引き起こす文体、構成、放り出されっぱなしの謎、と言った、一歩間違うと作品を崩壊させかねない技法が高い水準で焦点を結んでいるのは流石です。時系列もわざと錯綜させてあり、読み手に混乱と酩酊感を与えますが、それこそがこの作品の味というものでしょう。