著者: 支倉凍砂
イラストレータ: 文倉十
レーベル: 電撃文庫
村や町を巡回しながら交易を行う行商人ロレンスは、パスロエの村を後にした夜に、馬車に珍妙な客が潜り込んでいることに気がついた。全裸の少女の姿をしたその相手は賢狼ホロと名乗る。それはパスロエの村で神として崇められる狼の名前だった。最初は冗談かと思ったロレンスだったが、耳と尻尾を生やしたホロの姿を受け容れ、道中を共にすることに。
行商人と賢狼の珍道中は、利益を求めての商いの旅。騙し騙され旅の空……。
近世ヨーロッパ風の世界で巡回商人と齢数百年の狼の二人旅がいい感じです。法も制度も、中世よりは完備されているけど、近代よりはいい加減……というバランスが面白いところです。詐欺と商売の境界はどの時代でもあやふやなものですが、その線上でダンスを踊る二人の距離感が堪りません。
願わくば二人の旅が末永く続きますように。