著者: 師走トオル
イラストレータ: 緋呂河トモ
レーベル: 富士見ミステリー文庫
弁護士
たぶん。
とまあ、のっけからとんでもない要約になっているわけですが、それでも殺伐としていないのはこの山鹿善行が悪人じゃないからです。「本当のところは知ったことじゃない」とは言いつつも、被告人(依頼人)の無実を追求し、検察警察の間違いを追及するわけで、これが本当はクロの被告をシロくしているわけじゃないから、許せるところ。
一応作品世界は、予備審問に陪審員制度が導入された架空の日本。刑事専門の山鹿善行は毎回のように殺人事件の被告の依頼を受けては弁護に立ち、無罪を勝ち取るのですが、その間に使われる戦術がもう目茶苦茶で、時には偽証すら使う。勝てば官軍を標榜し、探偵を使って証人の弱みを握るなどは朝飯前とくると、さすがに大丈夫かこいつと思わなくもない。
弱点としては、折角1巻で用意した綺麗どころの女性キャラが、巻を追うごとに影が薄くなっていっていること。その分、法廷モノとしての体裁は良くなってきているのですが、ライトノベルとしてはどんなもんだろうかという疑問が残ります。(編集部の要望で入れたらしいキャラなどは、長編では殆どお荷物状態ですし……)