著者: 杉井光
イラストレータ: 岸田メル
レーベル: 電撃文庫
転校を繰り返したことから、人付き合いを避けて高校生活を送っていた藤島鳴海は、16歳の冬、クラスメイトの篠崎彩夏に引きずられて園芸部に所属することに。そしてそのまま引っ張られて行った先のラーメン屋で、ボクサー、軍人、ヒモ……のニート、と出会う。そしてもう一人。ニートは生き方であると言い、ニート探偵を名乗る少女・アリス。
ニート同士の生暖かい交流の中で搖蕩いながらも、それでも事件は鳴海の前に現れる。現実はいつも辛くて苦しくて、そして立ち向かうこともできないほど強固だと、ニートたちが教えてくれた、冬。
前作もそうでしたが、情け容赦ない厳しさが信条なのか、分かりやすい優しさとか救いとかとは一切無縁なニート話。それでもこの作品が「立ち直らなきゃ」とか「これじゃ駄目だ」とかいう一遍通りの調子ではなく、「ニートでも良いじゃないか」と、とても前向きに出来ている所が、素晴らしい。
誰も幸せになれないエンディングでも良い、という人には、是非お奨めしたい。
全九巻。完結しました。