著者: 森岡浩之
死んだ人間たちが生前の意識をコンピュータシミュレートして“生きる”VRNWS。昭和60年を摸して造られた街に“生きる”朽網は探偵事務所を開く変わり者だ。とはいえ、コンピュータシミュレートで動く街にそうそう飯の種があるわけもなく、毎日喫茶店でコーヒーを飲むばかり。
しかしある日、朽網のところに生身の人間が暮らす「あの世」から依頼が舞い込む。以来の内容は人探し。物好きなことに「あの世」からVRNWSへやってきた男がいるらしい……。
SF Japan誌に連載されていた短編連作にエピローグを加えての短編集で、死んだ後もあくせく生きる魂の牢獄の世界をシニカルに描いている。しかし、死んでからも金儲けにあくせくしなければいけないとあっては、この世界を望む人もそれほど多くないのではないかと邪推してしまう。
イラストレータ: 小菅久美
レーベル: トクマ・ノベルズEdge