著者: 森橋ビンゴ
イラストレータ: 世良シンヤ
レーベル: ファミ通文庫
四風館高校普通科に通う宮島七日は、たった一人の肉親である父を失い、一人寮住まい。どこにもない幸せを求めて、屋上で叫ぶ。
四風館高校進学科に通う渋谷三月は、誰にも内心を見せずに優等生を演じ、一年生で生徒会長を務める。
七日が停学を喰らい、三月がクラスメイトに正体を見拔かれた日から、二人の軌道が交錯し始める。どことなく似通った二人は、急速に惹かれあい、近付いていく。
しかしそんな二人を迎える結末は、幸せなのに決して甘いものではなかった――
青春の甘酸っぱい想いが本いっぱいに溢れている、青春小説だと思います。でき過ぎ君を演じ続ける三月と、幸せを望んでも逃げていくと思い込む七日。終わってみれば、あるいは第三者から見れば大したこともない話でも、その時の当人たちにはかけがえもなく大切なことだった。青春のそんな側面を鮮やかに描いています。
二人が摑んだささやかな幸せの形は、続刊「その後のハナシ」で補完されて綺麗に纏まっています。