1627年、ドイツ・ケルン選帝侯領レンスの街で祖母と二人で暮らす余所者のマリーは、魔女裁判の吹き荒れるなか、“東方からの旅人”と出会う。奇妙な身なりをした17歳の少女と10歳のマリーは、魔女の手引きでレンスを脱出する。しかし二人を追う黒い影――。
1627年のドイツと2022年のシンガポール、2007年の鹿児島を結ぶ、少女という生き物の物語。
SF的なんだけどSFというよりは21世紀のある瞬間にのみ存在した「少女という生き物」を題材とした、桜庭一樹らしい作品。ただ、全体構成を見た時に、第1部で作品の半分、第2部が残る2/3と、バランスに欠けた所があるのが難か。