著者: 日日日
装画: 中村佑介
レーベル: 新風社文庫
御前江真央は、奇妙に現実感のない世界に生きていた。クラスメイトは殆ど認識できず、ただ学校に行き、門限までに帰り、病床の母を世話する生活。現実と虚構の境界線が曖昧で、何故自分が生きているのかすら曖昧な日常。
そんな中で、下校途中に出会った少女「旅人さん」だけが、真央にとって現実感ある存在だった……。
比べちゃいけないと思いつつも、ますます乙一に似てきたな…とか思いながら、それ故に乙一との力の差も感じるようになった一作。
大人になった御前江真央が過去を追想するという形で進む文章は、相貌失認と相まって現実感が希薄なくせに、恐怖感を伴って浸透してきます。
孤独の中で自分を殺してしまった少女(ウェンディ)が、ピーターパンの力で現実に戻ってくるお話。