最後の夏に見上げた空は - 著者: 住本優

著者: 住本優
イラストレータ: おおきぼん太
レーベル: 電撃文庫

紹介

20年ほど前に世界を巻き込んだ戦争が起こり、切り札として日本は『遺伝子強化兵』を作った。しかし戦争は終わり、社会には17歳で死を迎えるようにプログラムされた『遺伝子強化兵』だけが残された。そんな世界。
小谷順子は遺伝子強化兵で、1ヶ月前に全健忘―すなわち記憶喪失となり、今は学校の講師である名門亮一を監督者として一緒に暮らしている。記憶喪失前のことは、殆ど何も知らない。この世界は1ヶ月しか知らなくて、そして来年の夏には死んでしまう。
新たに通うことになった北四尾高校は、過去に問題を起こした遺伝子強化兵が通う学校だった。転入初日に、柊菜摘という少女に、小谷順子は拉致される。放送室に閉じ籠った菜摘は叫ぶ。
「あたしらの、お前らの人生、ここで終わっていいのかよ? 大人の都合で生まれて、大人の都合で死んでいって、それで……それでいいのかよ!?」
あと一年で死ぬことを運命づけられた少年少女たちの、夏が過ぎていく。

あと一年という時間制限のついた人生。なのに切迫感はそれほどなくて、日々の暮らしは日常で流れ、でも時々とても苦しくなる。そんな少年期特有の不安感がよく出ています。なんとかしたいけど何ともならなくて、仕方ないから日常を送っているけど、やっぱり諦めきれなくてもがいて苦しんで。実は特異な設定に頼らなくても良かったんじゃないかと思いますね。
主人公の小谷順子と名門の間に、かつて何があったのか、今後語られるであろうストーリーにも期待が持てます。
短編連作の形式を採っていて、手軽に一作ずつ読める、いい感じの短編集です。

コメント

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  • 2005-08-11 (Thu) 00:00:53 S.B. : そして3巻は最終巻。救いはなかったけどいい感じに綺麗に終わったと思います。
  • 2005-04-09 (Sat) 02:52:29 S.B. : 2巻はラブコメモードに突入?!

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