シナオシ - 著者: 田代裕彦

著者: 田代裕彦
イラストレータ: 若月さな
レーベル: 富士見ミステリー文庫

紹介

今見かずみは佐津木学園に入学を決めたその日に、とある人物と再会し、大切なことを思い出す。《私》は今見かずみではない。かつて《僕》だった《私》は、殺してはならない人を殺してしまい、その自分を止めるべく、5年の時を遡って今見かずみとして“シナオシ”ていたのだ。
なのに自分には記憶がない。かつての《僕》が誰だったのかわからない。
かつての《僕》、そして今の《私》を導く案内人(ナヴィ)は全く信の置けない傍観者だ。《私》は《僕》の犯行を未然に防ぐべく、過去の自分を探し始める……。

前作と同じ舞台装置を使っての別ストーリ。今回も前作以上に複雑怪奇な時間の流れに翻弄されます。《僕》は《私》で、《私》の器である今見かずみには今見かずみの人生があって。そして全ての接点である5年前の交通事故。
主要登場人物が4人しかいないのに、この複雑な演出には頭が下がります。
最期に明かされる小憎い仕掛けもあって、ファンタジー・ミステリーとして見事といえる一作だと思います。

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