体が不自由な姉をもつ葛西凜は、周囲の期待どおりの「えらい子」だった。家族が姉を中心に回っていくなかでつのる寂しさを、誰にも打ち明けられずに「えらい子」を演ずる凜が懐いていたのは、近所の神社の息子の白尾だった。 白尾が遠くの大学に行って数年。中学三年になった凜の前に、社会科教師として白尾が戻ってきた。 初恋の人との再会に、凜の心は焦がれる。でも“白尾先生”にはなかなか昔のように接することはできなくて……。 多感な少女の心の機微を精緻に描ききった一作品。
このページの最終更新日:2005-09-13 (Tue) 18:18:23