著者: 麻生俊平
イラストレータ: 硝音あや
レーベル: 富士見ファンタジア文庫
10年前、各国が総力を挙げて叩き潰したマッド・サイエンティスト達の遊び場〈絶滅研究所〉。しかし制圧は完璧ではなかった。絶滅研究所の生き残り立ちは、〈
自衛官であった兄・鷹匠勝也をテロで失った鷹匠次郎は、兄の死には秘密があると告げる元同僚の女性と接触する。告げられた事実は、兄の死には流出技術が関っていると言うことだった……。
そして敵の魔手は、勝也の家族に迫る。
辛くも一命を取り留めた次郎は、兄がなるはずであった改造人間に、自ら立候補する。改造人間V1へ―。そして兄のパートナーであった改造人間S1と共に、戦いの日々に身を投じる。
麻生俊平お得意の特撮系ヒーローものです。細かい科学技術のデティールではなく、それを運用する人間側の問題を丁寧に描写しています。警察の一部門である対策課は様々なしがらみの中で動いていて、変身一つに書類が必要、なのに事件は現場で着々と進行中―。そんなあっちもこっちも八方塞がりな状況が多々出てくる辺りが、なかなかよくできていますが、残念ながら5巻で打ち切りと相成ってしまいました。
ミュートスノートもそうだったんですが、リアルとフィクションの混合比がリアルに傾き過ぎて、「二進も三進もいかない」状況を生み過ぎたんじゃないでしょうか。実際の組織って確かにこんな感じなんですが、その中で上手く魅せるものを描けなかった作者の限界でしょうか。