日系の紅帝(コウテイ)と中国系の紅帝(ホンデイ)という、かつて紅帝(クリムゾン・キング)として一つだった組織が二つに別れて相争うダウンタウンで一人暮らす日系のゴドーは、上層階級の少女キアラと淡い付き合いを続けていた。しかし二つの紅帝の抗争が近付く気配にゴドーが一方的な別れをキアラに告げた時、彼女に何かが入り込んだ。
「我々は、空電体を駆除するために言基体から来た、侵攻体だ」
正体なき存在に乗っ取られたキアラの身体を守るべく同道するゴドーは、二つの紅帝間の抗争に絡む、もう一つの鬪いの姿だった。
「我が家のお稲荷さま。」でも時折見え隠れするハードなエッセンスを凝縮した、ハードボイルドストーリー。謎の侵攻体や、操られるままに動く死体、二重三重の罠と嘘。諦められている、恋。果たしてゴドーがその手に摑むものは……?
すっきり一巻で終わった良い作品です。