著者: 花田一三六
イラストレータ: 廣岡政樹
レーベル: GA文庫
半スタルト(1.8m)の威丈夫が籠城の城壁で鉞を振るい、味方を支えていた。攻めるは、後ガゼルーン帝国末期の梟雄・ジューシュ。ただの雑兵の筈の男が、砦を一つ、支えている。ジューシュは訝しむが、何のことはない、彼はただの樵であって、妻とまだ見ぬ子を想い、一心に生き残らんとしているだけだった。
ある意味、もっとも「戦塵外史」らしい、短篇集。戦場らしい戦場は終ぞ描かれず、戦場の一兵卒や、戦わない男、中には軍の荷駄を描いた作品まで。訥々と語られる、異様にリアリティを持ったファンタジー世界の中で、キャラクター達が必死に生きる姿が、読者を魅了して已みません。