著者: 紅玉いづき
イラストレータ: 岩城拓郎
レーベル: 電撃文庫
死の風が吹きつける白き山脈。そこに住む民の性は雪をも溶かすほど荒々しい。その中でも最も蛮勇なる部族が二つ。戦いの刹那に快楽を求める民フェルビエと永遠を求める民ミルデ。この部族は長い間互いに抗争を繰り広げていたが、若きフェルビエの長アルテシアと狂人とまで云われるミルデの長オウガとの結婚によって争いの幕は閉じようとしていた。しかし、「雪蟷螂」と称される女傑のアルテシアは戦いでしか誰かを愛することの出来ない女であった……。
「結婚」がテーマであるため、前二作に比べて若干大人向けの内容です。アルテシアとオウガの婚姻を中心にして繰り広げられる、愛という言葉でくくるには軽々しすぎるほど血生臭い愛憎劇はまさに圧巻。それでいて、生への希望を真摯に描いた傑作です。