著者: 八薙玉造
イラストレータ: 瀬之本久史
レーベル: 集英社スーパーダッシュ文庫
弟との王位継承争いを避け、片田舍に僅かな手勢と共に隠棲した王姉・エミリーは、“輝鉄”と呼ばれる鉱石を用いて常人の数倍の力を発揮する大甲冑をまとい、トゲ付き鉄球を振り回す“鉄球姫”。その性格たるや豪快にして短気、セクハラで部下を弄るのが大好きというとんでもないもの。なけなしの忍耐力を総動員しての隠居だったが、弟王ガスパール派と反国王派はエミリーを放っておかない。不穏な空気に、エミリーの後見たる騎士長マティアスはエミリーの修道院入りを要請する。
激昂するエミリーだったが、ガスパールを支えるノーフォーク公ジョセフの魔手は伸びてきていたいた。
瀬之本画伯の甲冑美少女が鉄球を振り回すイラストに萌え小説を想定して買うと、その内容のハードさにリバースすること請け合い。登場人物が軽率な行動を取れば必ずしっぺ返しが訪れ、そしてそれは往々にして“死”という形になっているという、案外に骨太なファンタジーです。
それでもなお笑顏を絶やさないために、自分を嫌いにならないために、凜々しく立ち上がる姿が見所です。
なお、容赦ないアンハッピーエンド作品ですので、嫌いな方は避けることをお奨めします。