著者: 加藤聡
イラストレータ: 緋呂河とも
レーベル: ファミ通文庫
告白した女の子に振られた日に自宅に戻っていると、両親は夜逃げしていて、卓也には山のような借金が残されていた。取り立てのヤクザ・原田が思い付くままに非合法自転車レース・通称“ドッグレース”に出ることになった卓也は、兄の遺品の自転車で、湾岸の公道コースを走る。
そこは様々な理由で流れついた連中が、それぞれの事情を背負って走る競馬場。
卓也は一人、家を売らずに借金を返すためペダルを踏みしめる。走って家に帰るんだ……。その想いを胸に。
借金のカタに非合法自転車レースの選手になるという荒唐無稽な設定に、無感動系の淡白な主人公が表向き淡々とレースをこなすというスタイルながら、他のドッグレーサーたちとの関りや時折見える卓也の熱さや終盤への盛り上がりなど、ストーリはよく練られています。