著者: 三雲岳斗
レーベル: 双葉社
ルネッサンス期イタリア北部の都市・ミラノの宰相ルドヴィコ・イル・モーロ。その愛妾とされるチェチリアは、逗留先の
政治的に微妙な状況で起きた事件に、ルドヴィコは解決のため飛びっきりの人材を投入する。その男の名は、レオナルド・ディ・セル・ピエーロ・ダ・ヴィンチ。自称画家の、異才の変人であった。
半ば埋もれた元城塞の館には、聖遺物と目される香炉があり、真贋の鑑定のためにローマから遣わされた聖職者たちが泊まっていた。殺人の後なくなった香炉や不可思議な屋敷の構造、錬金術に手を出していた主――。果たしてダ・ヴィンチは犯人を探し出すことができるのか!?
M.G.H.でSFミステリーを描いた三雲岳斗が挑戦する歴史ミステリー。探偵役にはレオナルド・ダ・ヴィンチ、対するは嵐の館で起きた密室殺人。多少登場人物たちの言行が現代臭いところもあるが、安心して読める作品。
ただ、M.G.H.以来指摘されている「説明のくどさ」は相変わらず。しかしこの点についても作者の親切と思えばそれ程問題でもない。