著者: 瀬尾つかさ
イラストレータ: 唯々月たすく
レーベル: 富士見ファンタジア文庫
修学旅行のバスが包まれた金色の光。そして気がついたとき、海老上原高校二年三組24人は、異世界にいた。
地球とは全く違う大森林のど真ん中に放り出された24人は、委員長の橋場優子を中心に、クラスの厄介者だった野生児・久森遙を頼ってサバイバルを開始する。彼らのサバイバルが限界に達したとき、現地の猫人間と彼らは接触し、保護の条件として遙は巨大ロボットの操縦者として、森を襲う龍と戦うことに。
必ず優子を、そしてクラスメイトを元の世界に戻すんだ。そう心に誓いながら。
だがその戦いは、世界の謎と共に、遙を徐々に、遙ではない何かに変えていく――。
第17回ファンタジア長編小説大賞審査委員賞を受賞した作品。
異世界へクラスごと飛ばされて、元の世界へ戻るべく全くの異世界でサバイバル……というのは、ファンタジーの題材としてはそれほど珍しくないが、23人の命を預かることになった遙に全く悲壮感がない。それどころか、親友の優子と下僕の敦也を残してあとは死んでも構わないなんて思ってたりするあたりが結構ひどい。
元の世界で感じていた疎外感から、自分の“いるべき場所”をこの異世界で見つける遙が、些か突飛といえば突飛でしょうか。
しかし、一緒に異世界にやってきた他のクラスメイトが、本当に出番がない。最期までお荷物扱いで、その上アレになっちゃうというのは、どうかと思いました。十五少年漂流記のような集団流浪譚を期待して読んだ場合、期待外れに終わるでしょう。