著者: 新城カズマ
イラストレータ: 介錯
レーベル: 富士見ファンタジア文庫
時空の彼方から押し寄せる怪物・狗狼を〈厄址洞〉に封じ、この三千世界を守る者たちが暮らす隠れ里があった。左手で触れたものを剣に変え、砌を継いで時を超える時念者たち。しかし4年前、里は裏切り者によって滅亡し、狗狼は世界に放たれた。
時念者の生き残り、小笠原周防は各地を点々としながら狗狼を狩り、里の裏切り者である兄達を探し、そして奪われた許嫁・結宇を探していた。
森塚詩乃は、ある日学校の屋上で、“秀才クン”こと転校生の小笠原周防と、化学教諭の仁籐だった狗狼の戦いに巻き込まれ、自身も時念者となってしまう。突如平穏な日常から切り離され、戦いの世界に放り込まれた詩乃を、周防はなんとか巻き込まないようとするが、それすらも敵の策略であった――。
完結まで7年、というと長かったように思うけれども、そのうちの大半、4年が最終巻というわけで、読者としては実に「待たされた」作品。
当初説明されていた背景は全て欺瞞であり、物語と共に明かされていく世界の真実は周防に全く優しくなく、そして最終巻までの道程が全て一つの目標のための、時空を超えた布石であるという、厳しすぎる現実。
完結まで時間がかかり過ぎたことと、時間を跳躍するという特性上、何やら話があちこち飛びがちでしたが、無事完結。とりあえずそのことを喜びたいと思います。