著者: 岩田洋季
イラストレータ: 室井麻希
レーベル: 電撃文庫
親戚中から爪弾きにされていた叔母の通夜は、偶然にも妹・小夜子の命日と同じだった。叔母の家で暁が出会ったのは、父を知らず、母の愛情を受けずに育てられた、小動物のように怯える従妹・国崎桜花だった。
家族として引き取られてからもなかなか心通じ合えなかった桜花だったが、ある日暁が彼女のスケッチを発見したことによって、好転し始める。画才を認められ、他人との触れ合いに急速に目覚めていく桜花だったが、一方で昏い落とし穴は彼女の身の内で機会を窺っていたのだった……。
ライトノベルというよりも、普通の小説に近い作品。愛情を受けずに育てられた少女が、他人との触れ合いに目覚め、自分の才能を開花させ、そして挫折し、また復活する……という、少女の成長物語。折々に触れて、暁くんが良い味を出しています。
少女の“恋”と、少年の“愛”がとてもいじらしい一作です。