著者: 赤城毅
イラストレータ: ウスダヒロ
レーベル: 講談社ノベルズ
世に散らばる稀覯本を、合法非合法を問わず蒐集する、書物狩人。その中でも最も名高い銀髮の東洋人“ル・シャスール”。今日も彼は世界の片隅で、書物を巡る暗鬪に繰り広げる。ある時はニューヨーク、ある時はジュネーブ、そしてある時は日本で。
単なる本としての価値以上の価値を持った奇書を巡る、これは世界の裏側の物語。
作者の本に対する趣味が高じて書かれたのかとも思える一作だが、それ故に本についての蘊蓄は幅広く、そちらに興味がある人なら、それだけでお腹一杯になれるかも知れない。短編集の体裁を取っており、登場人物も多くはなく、概ね淡々と物語は進み盛り上がりに欠ける嫌いはあるが、蘊蓄だけでも楽しめる一作。