著者: 川口士
イラストレータ: 一之瀬綾子
レーベル: 富士見ファンタジア文庫
鬼の温羅が囚われていた村を襲ったのは、温羅の一族を滅ぼした桃生の手下だった。神器を奪われた中津国は、温羅に川楊と梓の二人をつけて、神器奪還のために送り出す。中津国から吉備への道中に、不器用ながらも心を通わせ始める温羅と梓。一方でかつて滅ぼされた出雲の影が、背後に見え隠れする。
記紀や温羅伝説、吉備津彦伝説などをちゃんぽんにして再構成した、古代風ファンタジー。受賞者の少なさで鳴るファンタジア長編小説大賞を受賞するだけあって、筆力・構成ともに新人離れした作品。多少ご都合主義も目に着くが、気にならない程度。
次回作以降に期待が持たれるところ。