著者: 長谷敏司
イラストレータ: CHOCO
レーベル: 角川スニーカー文庫
汎銀河同盟と人類連合の戦いは1,000年を経て、今日も続いていた。汎銀河同盟の降下兵・ヴァロワは、人類連合が頑強に防衛する〈拠点32098〉への強攻突入にただ一人成功する。全ての仲間と武装を失ったヴァロワが〈拠点32098〉で出会ったのは、人類連合の制御官・ガダルバと、マリアという名の一人の少女だった。
廃棄された宇宙軍艦が墓標のように立ち並ぶ緑の惑星の上で、三人の奇妙な共同生活が始まる。
命令に従ってこの惑星の謎を追うヴァロワに、ガダルバはこの星は墓地であると告げる。淡々と流れる日々の中でこの星の暮らしに馴染んでいったある日、ヴァロワの前にこの星の秘密が突きつけられる。
この星に辿り着くまで、戦争という形でしか世界を知らなかったヴァロワとガダルバ。そして墓守のマリアの三人が出会うことによって、それぞれの生き方、価値観、世界観を見つめ直す時間を得て、そしてヴァロワとガダルバは明らかに変わっていく。変わっていく自分に驚き、悩み、恐れ、そして受容していく過程の描写が実に秀逸。
第6回スニーカー大賞金賞受賞に恥じないSFロマン。