著者: 水口敬文
イラストレータ: シギサワカヤ
レーベル: 角川スニーカー文庫
肺炎で入院していた鳴瀬玲人が一週間ぶりに学校へ出てきてみると、見知らぬ少女がクラスメイトとして加わっていた。だが、みんなは彼女・朝槻憐が最初からクラスメイトだと言う。納得できない玲人の周りで、憐がらみの不可解な事件が起き、追及する玲人に憐の正体が明かされる。
彼女は500年後の未来から、「過去流し」の刑を受けた罪人なのだと。
過去に流され、孤独を味わうことを刑として科せられた少女には、心の刃で身を護るしかなかった。そして玲人には明かされなかった第3の刑が憐を蝕み、耐えきれなくなった時、憐は鋼の刃を玲人に向ける―。
第9回スニーカー大賞奨励賞受賞作。
魔法も銃器も派手なアクションもない作品ですが、仲間とバラバラにされ、500年という過去に送り込まれ、孤独という刑を受ける憐の心理がよく描かれています。未来社会の設定は、無茶はあるけど無理はなく、直接出張ってこないので破綻もそれほどありません(要は無視しても大丈夫)。ハッピーエンドがよく似合う秀作だと思います。
全4巻、完結済。