16歳の星崎慶太は日常にやり切れないほどの違和感を感じていた。慶太が愛読している、古い小説。少女がバイクで旅をする物語。放課後の時間を潰す廃工場で、慶太はその物語のバイク――MB-5と、そのバイクに取り憑いているという幽霊の風間リオと出会う。
1週間後にスクラップになるというバイクのレストアを始めた慶太は、決定的に家族と決裂し、そしてMB-5と共に旅に出る。
一台と一人と、そして幽霊の旅が始まった。
導入部のイマイチさを通り過ぎることができれば、あらいりゅうじらしい青春ストーリーが待っています。行く先々で出会う様々な人々との出会いと別れを通じて、慶太少年の世界は広がっていきます。
青春は振り向かないものだ……なんていう陳腐な台詞が綺麗に聞こえてくる、そんな作品です。