著者: 篠月美弥
イラストレータ: 鹿澄ハル
レーベル: C★NOVELS Fantasia
マズルー国、イスラッド王国、オルトー公国に囲まれ宗教的権威を持つセア皇国は、三ヶ国から選ばれる盟主セア・ルマ、補佐セア・アス、巫女セア・ランガが頂点に立つ。新たなセア・ルマの即位に前だっての諸国訪問の最中、オルトー内自治領のキサから、セア・ルマが突如セアへ帰国する。同行していた次代のセア・アス、ティーダは取り残され、さらに奇妙な護衞を付けられ、僅か二人で大陸放浪をする羽目に。
大陸のパワーバランスを搖るがす事件を背景に、見るもの全てが珍しいティーダと、気楽な護衞ミヤギ・イスマールの道中は続く。
ハイ・ファンタジー志向の強いC★NOVELS大賞特別賞受賞作。ハイ・ファンタジーの強みは文化や風土に至るまで作者が綿密に設計できるところであり、難点はそれ故に読者が取っつきにくくなりがちなところ。本作は残念ながら難点の方が強目に出ている。政治を舞台にした陰謀劇なのに伏線が殆ど見られず、いくつかの要素については突然作中に飛び出してくるので、唐突観が強い。
次回作以降に期待したい。