著者: 鏡貴也
イラストレータ: とよた瑣織
レーベル: 富士見ファンタジア文庫
ローランド帝国王立軍事特殊学院でだらけた劣等生として適当に軍事訓練をサボるライナ・リュートは、その潜在能力を見込まれて学院のエリート、シオン・アスタールに共鬪を申し込まれるが、本人にはまったくその気なし。実は特殊施設育ちのライナには隠している力があるのだが……。
しかしシオンの出身にまつわる暗鬪にライナは巻込まれ、さらに代々王の守護を任ずるエリス家の長女がそれに加わる。共鬪が始まるのかと思われた時、隣国エスタブールがローランドへ侵攻、シオンらは最前線へ送り込まれる……。
月刊ドラゴンマガジン誌で行われた“龍皇杯”エントリー短編から始まったため、ストーリーの成立経過が色々複雑です。実際には短編集の1巻收録作品が、真っ先に世に出たことになります。その上で、その話の前日譚として長編1巻があります。
主要登場人物の殆ど全員が碌でもない人生を歩んできた(歩まされてきた)異常能力者&性格破綻者という作品で、登場人物達の心象描写に付いていけないものが多いです。また短編集がギャグ調というのはスレイヤーズ!以来の定番スタイルなのですが、不条理ギャグの世界に入ってしまっていて、本編との時間的オーバーラップもあり、読み解くのが大変です。
感情移入は難しい作品だと覚悟して読むのが良いと思います。