著者: 羽田奈緒子
イラストレータ: 戸部淑
レーベル: MF文庫J
平凡な高校生・弓島一弥は、妹の部屋から聞こえる不審な会話に気付いて部屋に飛び込むと、そこには病弱な妹・小百合と小人の少女・パウエルがすっかり仲良くなっていた。
日本の山深い森の奥には昔から、
実はパウエルの体には〈呪いの子〉という秘密があって、そのことに関して、「巨人の国」にいるサトリという女性を訪ねる途中だったという。しかしサトリは見つからず、それどころか里から追っ手がやってくる。
右往左往する状況でものんびりしたままのパウエルに、ちょっと頭の悪い小百合、不動のおかあさんなどなど、あんまり緊迫しないなか、パウエルの秘密が明かされる。
ほのぼの系ファンタジーで、登場人物たちが一生懸命どたばたするんだけど、結局めでたし、めでたしになるようなお話。惜しむらくは新人の作者の筆力がいささか不足気味なところで、もう少しキャラクターの動機づけなどに厚みが持たせられればと思ってしまう。また逆に、第2巻なども変に事件を起こさないで、日常コメディー仕立てにしてもこの設定なら充分に物語が紡げた筈だ。
続刊に期待したい。