著者: 葛西伸哉
イラストレータ: 尾谷おさむ
レーベル: MF文庫J
七夕の流星群とともに降り注いだ謎の物体〈銀の樹〉を見ようと走り出した“僕”は、一人の女の子と道連れになる。
「あの〈銀の樹〉はあたしを殺すためにやってきたの」
そう言う“彼女”と“僕”との、〈銀の樹〉を目指す奇妙な道行きが始まった。
様々な交流を通して二人の心の変化を描くせつな系ファンタジー。
葛西伸哉というとどうしても「アニレオン」のイメージが強いと思われるが、恐らく彼の真骨頂はこういう少年少女の心の変化を描く作品にあると思われる。「石のハートのアクトレス」「青の時代のスタンド・イン」以来となる現代東北を舞台とするこの作品は、いささかあざとさが見えるものの、まず良作と呼んで良いと思う。
作品に「星虫」の影響が色濃く、しかもはっきりと見えるのはマイナスポイントか。