著者: 神野淳一
イラストレータ: 小川恵祐
レーベル: 電撃文庫
高度に発達した科学と魔法による大戦争によって文明が崩壊した北米大陸。世界は箱船と呼ばれる空中都市に暮らす支配民と、地上に暮らす被支配民に別れていた。
鉱山の街ミディールに暮らす少年グローブは、ある日重傷を負った少女アン・シャルを助ける。彼女は箱船「メルキオール」から逃げ出してきたという。重大な秘密を抱えているらしいアン・シャルだったが、身体を癒しながら鉱山の底で子供たちに勉強などを教えるうちに、交流を深めていく。
だがその間にも、着々とメルキオールの魔手は街に迫ってきていた。
色々微妙にバランスが崩れている作品。少年少女成長譚なのだが、作品内のタイムスパンが長すぎて、結果的に投入エピソードが多くなり、間延びしてしまいテンポが悪くなっている。登場人物たちの成長や変化を細やかに描写しているところには好感は持てるのだが、中弛みがきつい。
あと、ご都合主義が強すぎる傾向があり、作者の都合に合わせて登場人物達が動いているのがありありと分かるため、どうにも楽しめない。
著者によほどの思い入れがある人向けだろう。