著者: 笹本祐一
時は1920年。熾烈を極めた欧州大戦の終結により、この大戦で実用化したばかりの航空機を駆る多くのパイロット達が、軍から放り出された。ある者は遊覧飛行を始め、またある者はアクロバットに。そしてここに、運送業に手を出した男がいた。
「何でも、どこからでも、どこへでも」
ロンドン下町に事務所を構えるファルコン・フライング・フェリーは、その勇ましいキャッチフレーズによって、毎回ロクでもない依頼が舞い込んでばかり。所長のジョニーと事務員のレミィはその都度東奔西走するのでした。
ゴールデンエイジのヒコーキ野郎を描く笹本祐一の傑作。サン=テグジュペリの「夜間飛行」なんかの時代ですね。とはいえ本作には重苦しい話はなく、むしろ当時の技術力では無理難題としか言えない依頼を前にあらゆる手管を駆使するドタバタ活劇でしょうか。
ソノラマノベルズ版は、文庫版に大幅な加筆を加え、デティールやエピソードを膨らませてあります。