著者: 水城正太郎
イラストレータ: ユキヲ
レーベル: 富士見ミステリー文庫
霊元魔夜美は天涯孤独の女子高生。ある日バイトからアパートに戻ると、父に怨みがあるというカリスマ女都知事がアパートを取り壊している最中だった。全てを失った魔夜美は父が遺したメモを最後の頼りにするが、そこは潰れた歯医者で、中にいたのは一つ年上の風堂煉四郎だった。
煉四郎は魔夜美の父が新宿を股にかけた大詐欺師であったことを告げ、自分が一番弟子であると言う。詐術師を名乗り、悪党から金をまき上げることを生業とする煉四郎と駆け出し詐欺師の魔夜美が、都知事を相手に詐欺を仕掛ける。
口先三寸で他人を騙しては金をまき上げる詐欺は、見た目が簡単であるため、よほど上手く書かないと、騙す方の緊張感や緊迫感が読者に伝わらないのですが、残念ながらこの作品はその点あまり巧くいっていません。「ハイスクール・ミッション!」もそうなんですが、高校生くらいの少年少女が少人数で、というシチュエーションには無理があるのではないでしょうか。
それと、登場するキャラクターたちが薄っぺらいのは気にかかりました。こんな言葉で説明できるような動機しか持てない連中ばかりでは、身の上話に食傷しそうです。