著者: 高瀬彼方
イラストレータ: 山田秀樹
レーベル: 角川スニーカー文庫
唐突に人類に襲いかかる異世界からの侵入者、憑魔。その出現規則から、人類側は憑魔を全滅させないよう、それでいて増え過ぎないように、出現区域を隔離してだらだらとした戦いを繰り広げていた。
埼玉県。北関東隔離戦区。そこでは、出現した憑魔と、憑魔と融合してしまった人間たちが、希望のない戦いを繰り広げている。
土岐英次二等陸士。15歳。配属されたのは精鋭といわれるイコマ小隊だったが、その小隊はデコボココンビの集まり。でも精鋭は精鋭。英次は戦い続ける裡に隔離戦区の、そして憑魔の秘密へと近付いていく。
恐らくガンパレに触発されて構想されたものと思われる世界で、未来のない絶望的な戦いを繰り広げる自衛隊員たち。憑魔と融合してしまったときから、隔離戦区に送り込まれ、そして二度と出ることのない彼らだけど、それでも日々を精一杯生きている姿が健気。笑い、泣き、怒り、喜ぶ、そういった“戦争の中の日常”がよく描けていると思います。
実はこの作者、戦場日常ものでも書いたら素晴らしく上手いのではないだろうか……。