著者: スズキヒサシ
イラストレータ: 尾崎弘宜
レーベル: 電撃文庫
古のソロモン王の子孫は、「ダビデの心臓」を持つ。「ダビデの心臓」を持つ者は、ソロモン紀の到来と共に、「ダビデの心臓」を喰らうようになる。心臓を食わねば、7日間で悪魔へと変貌する。
生き残った最後の一人がソロモンの後継者となるまで、ソロモン紀は続く。
高校生としての生活をスタートさせたばかりだった宮沢明日馬は、突然ソロモン紀に巻込まれる。家族を、幼馴染を、唐突に失い、自身もまたダビデの心臓の持ち主として戦うことを強制される。敗ければ殺され心臓を食われる。戦わなければ悪魔と成り果てる。生き残るためには他のダビデの心臓の持ち主を殺して心臓を食うしかない。
悩み、苦しみ、悶えながら、今日もソロモン紀は続く……。
ある日突然なんの脈絡もなく始まる殺戮、という「バトルロワイヤル」系作品にファンタジー要素を加え、舞台は普通の街中。出会えば即殺しあい、という殺伐な関係であるはずの「ダビデの心臓」の持ち主同士の交流が描かれる。
主人公が覚悟不足のヘタレくんで、甘っちょろいこといいながら心臓食わずに悪魔になるのも嫌って感じで、割り切れない性分の明日馬が全然成長しないために、話が全く進まない。三巻ラストで出すだけ出した伏線の数々を投げっぱなしにして「第一部完」。先行きの見えない話だっただけに、妥当な終わり方と言えなくもない辺りが不幸。