著者: 水野良
イラストレータ: 内藤隆
メカデザイナ: 山根公利
レーベル: 電撃文庫
西暦2300年。地球を遠く離れたヘンリエッタ星域ではヘンリエッタ星域惑星国家同盟・通称「
しかし事態は急転し、キビはあっさりと王国に敗北。アマテラスは行き場を失うが、この時とんでもないアイデアがクルーの中から出される。キビ亡命政府をアマテラス艦内に作り、自由護衛艦として単独で王国に戦いを挑むというものだった。
かくして一部の士官と防衛大学学生だけとなったクルーに率いられ、スポンサーは銀河ネットワーク、女性乗組員はアイドル稼業、戦鬪風景は全宇宙中継されるという、前代未聞の宇宙戦鬪艦が誕生した―。
湾岸戦争以来、戦争が娯楽番組化したと言われて久しいわけですが、これはさらに一歩進めて、半分御茶の間の娯楽のために戦争をやっているというシニカルな状況に陥った若者達の必死の戦いを描いた作品。
母星を救うためには戦うしかなく、戦うためには資金が必要で、資金を出してくれるのは娯楽番組のスポンサー。かくして女性乗組員は歌に踊りのレッスンを受け、艦橋にはレポーターが入り、シナリオライターは次々と番組をこさえては放送する。
しかしやっている戦争はもちろん本物で、勝てば敵に死者が出るし、被害も受ければ犠牲者も出る。国際社会は相変わらず動きが遅く、若い彼らにはどうしても政治力が足りない。ないない尽くしの中で戦う若者達に明日はあるのか……。