著者: 米澤穂信
レーベル: 角川書店
神山高校の文化祭、「カンヤ祭」がいよいよ始まった。しかし古典部の面々の表情は暗い。会誌「氷菓」を刷り過ぎてしまったのだ。その数200部。うつむいていても仕方ない。古典部員は「氷菓」の売上を伸ばすべく、それぞれの方法で宣伝工作に走り始める。
ところがそのカンヤ祭の中で起きる不可思議な盗難事件。盗まれた後には、犯行声明の一文。謎の怪盗「十文字」が目指すところは――古典部!?
える、里志、摩耶花が奔走する中、一人店番をする奉太郎は犯人に迫る。
「氷菓」「愚者のエンドロール」に続く〈古典部〉シリーズ第三弾。
学園祭を舞台に繰り広げられる盗難劇。しかし本当に盗まれたものは……という青春ミステリ。テーマとして扱われている種類の感情は、創作に関ったことのある人間であれば、誰しも大なり小なり感じたことがあるはず。あの苦しくて辛くてそれでいて逃げることすらできない痛々しい心が、よく表現できていると思います。
残念ながら初版には間違いがあり、第2版以降修正されています。第2版以降をお求めになることをお薦めします。