著者: 米澤穂信
装画: 西島大介
レーベル: 文藝春秋
「人文科学的実験の被験者。拘束時間24時間。期間7日。時給1120百円」
実験に応募した男女12人は地下に造られた実験棟に閉じこめられ、武器を渡された。人を殺せばボーナス。それを暴けばまたボーナス……。
説明されるルール。誰も殺さずに平穏に過ごせば大金が手に入る。なにも危険を冒すことはない。なのに発生する殺人事件。疑心暗鬼がはびこる中、果たして犯人は誰なのか……。
メタ・ミステリーとでも言うべき本作では、米澤穂信作品にしては珍しく、死者が沢山出ます。実験のために集められた男女は、一人死に、二人死にするうちに相互不信を募らせ、人間の本性を剥き出しにしていきます。
作られたクローズド・サークルの中で強制される探偵ドラマの趣味の悪さと、ある意味それを上回る“空気の読めないミステリ読み”の根性の悪さが光ります。
残念ながら初版には間違いがあり、第2版以降修正されています。第2版以降をお求めになることをお薦めします。