著者: 沖永融明
イラストレータ: KEI
レーベル: 富士見ミステリー文庫
絵本作家新大悟は、唯一の家族であり白血病で入院中の妹一樹の看病をする日々を送っていた。
いつもの様に病院から帰る途中に突然世界は色を失い、彼の前にイキガミが現れこう宣告する、「お前さんの死を、告げに来た」。
イキガミと契約を交わし、妹の誕生日プレゼントに贈る絵本を完成させるまでの
中盤以降ある程度話が動き始めると、その情熱と筆力でグイグイと力強くストーリーに引き込んでいきますが、 逆に言えば白血病・ADHD・依存症・近親愛・霊魂・愛情・友情と要素の盛り込み過ぎと構成の悪さから、前半は話の流れが非常に悪く焦点が定まりません。半分までは辛抱しましょう。 富士見ヤングミステリー大賞奨励賞後に改稿を重ねたのなら、もう少し絞り込んだ方がすっきりとしたのではないでしょうか。「虹色の牢屋」はいらなかったんじゃないかな。
話的には続編も出せる終わり方をしていますが、綺麗な結末なのでこのままにしておいて欲しいです。次回作がこれから非常に楽しみです。