著者: 桜坂洋
イラストレータ: 宮下未紀
レーベル: 集英社スーパーダッシュ文庫
16歳高校一年生なのに幼児体形でドジっ娘の森下こよみは、家の押し入れから出てきた「魔法使い養成学校」のビラを持って、銀座にある学校へ向かった……が、そのビラは明治年間のもので、辿り着いた家には姉原美鎖・総史郎姉弟が住んでいるだけ。しかも総史郎は鉄壁の現実主義者で、魔法を習いに来たというこよみを鼻で笑う始末。
しかし姉原美鎖の方は、なんでも現代魔法を使う魔法使いなのだという。魔法の元であるコードをコンピュータの上で走らせ、売上を伸ばすコードや、呪いのコードを走らせているとかいないとか。
なぜかどんなコードを使っても金タライを召喚してしまう魔法少女となった森下こよみの明日はどっちだ!
イラストがイラストなんで、萌え小説っぽい感触を受けるが、実際にはあとがき一行目の「人を殺したいです」なんて一文が強烈に作者の個性を物語る一作。
コンピュータでコードを走らせて魔法を起こす、というアイデアは秀逸。魔法用語にもコンピュータ用語があちこち出てきます。
伝統的な古典魔法を使う一ノ瀬弓子クリスティーナや、2ch系少女坂崎嘉穂、現代魔法を独学で追うゲーリー・ホアンなど、魅力的な登場人物たちが織り成す魔法物語で、今後が楽しみな一作。
ただし、萌えはありませんので注意です。