著者: 近藤信義
イラストレータ: えびね
レーベル: 電撃文庫
レールダム福音連邦は世界制服を掲げるアールガウ帝国と衝突。第二次エルメロー沖会戦と呼ばれる戦いはレールダムが押し気味に進めるが、レールダムの一州ローデウェイク辺境州の辺境公ラシードの弟にして紫苑騎士団を率いるジュラだけは敗北を予言。そして戦局はジュラの予言通りにレールダムの敗北に至る。
なんとか敗戦の中から逃げ出したラシードとジュラたちだったが、帰城の途中で奇妙な少女に襲撃される。記憶を持たない少女はノウラと名付けられラシードに引き取られる。一方でレールダムは崩壊、ローデウェイクはのっぴきならない状態に陥る。降伏か、抗戦か。選ぶ間もあらばこそ、敵は押し寄せ、ローデウェイクは戦乱の中で一つの軸を形成していく……。
粗筋を書くと存外分かりやすい戦乱群雄ものなのですが、〈冥海〉や〈海獣〉といった世界設定がちょっと分かりにくいというか、物語に活かされていません。ヒロインのノウラに関る部分ではあるのですが、なくても物語が進むところがなきにしも非ずで、便利に使われてしまっている印象です。最初からガチンコの戦乱ものにした方が良かったのではないかと、巻を重ねた今は思ってしまいます。
取っ付きの悪さが災いしていますが、それほど悪くはない作品。