著者: 一柳凪
イラストレータ: 狐印
レーベル: ガガガ文庫
冬休みに入り寮生達が帰省した、ニコラウス女学院学生寮。残っているのは、ともに美術部に属する久我崎蝶子、門倉せりか、三輪歩、沖本由真の四人だけ。搖蕩うような冬休みの日々の中、蝶子は微妙な違和感を覚える。
その間にも日常は進行し、そして平穏な寮生活は、軋みを上げ始める……。
箱庭世界の平行宇宙ファンタジーとでも言うべき作品。主人公の心理描写など、描き切れていない面はあるが、着想は良い。もう少し丁寧に伏線を張って、読者に気付かせるよう気を付ければ、ミステリーになれたかもしれない。
ただ、作者が実力以上の表現を用いようとした形跡が見られ、自動詞と他動詞の取り違えなど、文章力には問題が見られた。次回作の課題だろう。