著者: 杉原智則
イラストレータ: 桐原いづみ
レーベル: 角川スニーカー文庫
かつて魔王に支配されて、勇者によって解放された世界。その片隅で、物語は幕を開ける。
孤児院育ちのアウルは、真面目なだけが取り柄の気弱な少年だったが、魔王城の遺跡に入り込んでの肝試しの最中、隠し部屋に落ち込んで、魔王の後継者に選ばれてしまう。
さりとて魔法使いとしての素養があるわけでもないアウルに魔王の座を奪われた、生涯を賭けていた初老の魔法使い・ガイツは怒り狂うも、今度はアウルを立派な魔王にすべくあれこれ画策し始める。でもやっぱりアウルにはその気はないわけで。
しかし魔王復活の法を受けた協会連合から軍が送り込まれ、地元住民と対立するに至り、アウルは決断を迫られる。デモ隊の先頭に立っているのは、学校で仄かに恋心を抱いていたダイアン。彼らを救うために、アウルは魔王城の力を使うことを決意する――。
主人公がもの凄くヘタレです。そりゃもう、どうしようもないくらい。決断したと思ったら次の巻で後退し、またうじうじ悩み……ということを4巻まで繰り返して、ようやく魔王として生きることを決断したかと思ったところで終了してしまいました。消化不良。
1、2巻でヒロインを張ったダイアンは2巻で退場、3巻以降は幼馴染サラが出てきて、勇者の子孫であるシーラ姫(これは1巻から登場)と4巻でプチ争奪戦を見せてくれるなど、ヒロイン衆の扱いが結構ぞんざいだった気が。最初から4巻のノリだったら、もっと良かったのに。
この後、魔王として生きることを選択したアウルと、勇者として生きることに決めたシーラの、戦いを挟んだ恋と友情が今後見れそうだっただけに、残念です。何分、アウルの決断までに4巻は長すぎました。