有名私立高校に合格したと思いきや、事故で家族全員を亡くして一年で転校を余儀なくされ、転居先では大隕石の落下に遭遇。そんな波瀾万丈な体験をして無感動な少年になっていた氷見透の元に、一人の少女が現れる。
「きさま……私の、つがいに、なれ」
透が目撃した隕石落下は、地球外の鉱物生命体の着陸で、目前の少女は人体とその生命体が融合したなれの果てだという。少女は子孫による地球征服を目論み、改造人間にされた透との奇妙な同居生活が始まる。
色々と微妙な作品。作品のテーマというか、軸が定まりきっていないというか、作者の中で消化し切れていないのではないか、という気がする。ネタバレ上等で書くと「memento mori」の一語で尽きてしまうわけで、古来文学において追求され続けてきたテーマだけに、些か蟷螂の斧の感が否めない。
ただ、ライトノベルでこの題材を真っ正面から扱ったことは、それなりに評価できる。