著者: 桜坂洋
イラストレータ: 西島大介
掲載誌: S・Fマガジン
明治から続く材木問屋の娘・霧崎文緒は僅か三日前にやってきた転校生に彼氏であるタクミくんを奪われてしまう。二日間泣き暮らした文緒は心に決める。
彼を殺して私も死ぬ――。
学校の電話線を切り、ケーブルTV線を切り、携帯とPHSの基地局を破壊して、文緒は学校へと殴りこむ! 手にはアメリカ人だった祖父から贈られたチェーンソーを握り、立ちはだかるものを材木のように斬り飛ばし、校舎を赤く血に染めて、文緒はタクミへの愛を確かめるために血の海を渡る!!
桜坂洋最高傑作の呼び声も高い怪作。
やけに微細を穿つチェーンソーの描写と対をなす、「かつて林業従事者の南軍兵士が北軍に立ち向かうために編み出した」という触れ込みのチェーンソー挌鬪術(……)で、級友たちをザクザクと切り刻み、愛する彼を殺すため屍山血河を築く少女の内面はひたすらに彼氏を取られた悲しみと寝取った女への復讐心に彩られていたりして、そのくせやっていることはチェーンソーで虐殺というシュールなギャップが最高に面白い。
ツボに填ると不健康な笑いが止まらないだろう。
続編「遊星からのカチョーフウゲツ」も併せてご笑読下さい。